今夜は話そう
 誰も人には言わないけど、そういう事ってよくあるじゃん。
友達とすごく話が盛り上がっちゃって、どうしても途中でその話を抜けるのが嫌で。
もうトイレに行きたくてたまらないのに、限界ギリギリでおもらし寸前なのに、どうしても抜けられなくて。
自分が 「トイレに行ってくる」 なんて言ったら楽しい話がそこで途切れてしまいそうで、結局言い出せなくて。
僕、それでも本当によくがんばったんだよ。
最後まで友達との楽しい話を途切れさせなかったし、最後までその話にちゃんと付き合ったんだ。
僕はトイレに行くのも我慢して、友達と笑いながらいっぱいいろんな話をして歩いたんだよ。
僕が住んでるマンションの前に着いた時には結局友達とバイバイする事になっちゃったけど、それはしかたがないじゃん。
どんなに楽しい時間だって、いつかは終わりが来るわけだし。
ずっと友達と一緒にいたくても、いつかは家に帰らなくちゃいけないんだしね。
僕、友達と別れた後急いでマンションのロビーに駆け込んで、エレベーターの "上へ行く" のボタンを10回ぐらい連打したんだ。
でも僕の住んでるマンションは古くてさ、エレベーターの速度がすごく遅いわけ。 だから、なかなかエレベーターが降りてきてくれなかったんだよ。
僕、もう本当にやばいと思った。僕の家はマンションの10階なんだけど、きっと家まで我慢できないと思ってた。
やっとエレベーターが降りてきた時は少しほっとしたけど、そこで気が緩んだのがよくなかったのかな。
たった1人でエレベーターに乗り込んで "10階" のボタンを5回連打した時、もうちょっとだけパンツに漏らしちゃってたんだ。
その後エレベーターがゆっくり上り始めた時は、とっくに限界を超えてた。
最初はエレベーターの床の上にポツポツと雨みたいな雫が落ちて、その後すぐに雨がどしゃ降りに変わっちゃって。
気がついた時は、もう足元に水たまりができちゃってたんだよ。
もうどうやっても太ももをつたうおしっこを止められなくて。パンツもジーパンもすっかり濡れちゃってて。
でもね、散々我慢した後だったから、おもらしした時はすごく気持ちがよかったよ。
我慢から解放されたあの瞬間の快感。それは君には分からないかもしれないけどさ。
でもあの時僕は1人だったから。誰にも見られてなかったから。だから、恥ずかしさよりも気持ちよさの方が断然大きかったよ。
あの時の僕は、きっとすごく気持ちよさそうな顔してたと思うよ。ちょうどオナニーしてる時と同じ顔さ。
そりゃあね、中学2年にもなっておもらしするなんて恥ずかしいに決まってるよ。
でもエレベーターの中には僕1人だけだったから、あの時は羞恥心みたいなものは全然感じてなかったな。
もしも人前で、例えば友達の前とか同じマンションの住人の前でおもらししたら、恥ずかしくて泣いちゃったかもしれないけど。
だって、1人でおもらしするのと人前でおもらしするのとでは全然違うじゃん。
そのぐらいの事は、君にも分かるよね?
僕の話はまだまだ続くんだから、絶対に 「トイレに行ってくる」 なんて言って話を抜けちゃダメだよ。
君がそんな事言ったら、楽しい話が途切れちゃうよ。
今夜は最後まで、僕の話にちゃんと付き合ってよね。
END

トップページ 小説目次